VOICE B

Special interview FROM TOUR

VOICE 5

木村明全体総指揮山邊将大カバー担当水谷大地 評価担当

「コントロール性を高める「乗り感」の追求」

—『TOUR B X/XS』としては3代目となる、新しいツアーボールが完成しました

(木村)前作は「スピードコントロールテクノロジー」というコンセプトで開発を行いました。ドライバー領域では高初速と低スピンで飛ばす。アプローチ領域では、低初速と高スピンで止めるという、ボールスピードをコントロールする発想です。
よく言われることですが、ツアーボールは「飛んで、止まる」というのが究極の性能です。これは相反する要素で、止めるためにはスピンが必要ですが、スピンを増やすためにはカバーを軟らかくしなくてはなりません。ただし単純にカバーを軟らかくするだけではあらゆるショットでスピンが増えてしまいます。そこでコアなどの内部構造を工夫して、ドライバーショットではより低スピンにするという方向で進化させてきました。

(山邊)前作である20年モデルは、アプローチ領域の初速を抑えるために衝撃吸収材を配合した「リアクティブ・ウレタンカバー」を採用しました。非常に軟らかく、スピン性能の高さも評価されたのですが、一方で、アプローチでボールが以前よりもフェースに乗りにくくなり少しコントロールしにくくなったというフィードバックが一部のプロからありました。

(水谷)そこで、アプローチではボールの「乗り感」があり、コントロールされた球質と強いスピンで止める事ができ、フルショット領域では風に強く直進性がある、そんな性能を目指しました。

(木村)それが新しいTOUR B X/XSボールのコンセプトとなる「スピード&スピン コントロール テクノロジー」です。プロから評価されているフルショットの性能を継承しつつ、アプローチをよりコントロールするための「乗り感」を増していく、ということをポイントに開発を行いました。

—「乗り感」とは、どういう感覚のことでしょうか

(水谷)クラブとボールが接触するときの現象を時系列に分解してみると、ボールとクラブフェースが接触してから、フェースの上をボールが滑ります。
滑りが止まると、ボール自体が回転しはじめて、そしてフェースから離れるという動きをします。この【ボールの滑りが止まってから、フェースを離れるまでの時間】を「乗り感」と定義しました。この時間がより長いほど「乗り感」を感じられるということです。

(木村)アマチュアの上級者の方に「ボールのどういうところを評価しますか?」というアンケートを取ると、ボールがフェースに乗る感じ、という声が常に上位にあがるんです。硬い感触が好きという人は多くなくて、やはりボールがフェースにくっついている感じが好まれます。
プロたちがよく言う、ボールがフェースに乗る感覚。それをボールの性能で実現したのが新しいTOUR B X/XSなんです。

(水谷)「乗り感」が少ないと、仮にピンそばに止めることが出来ても、もうひとつコントロールできない感じがあります。
フェースに球が乗っている時間が長く感じられると、自分でボールをコントロール出来るイメージが湧き、自信をもって打つことで結果的にアプローチの成功につながります。イメージ通りに打てる、ということもボールの性能なんです。

PROFILE

木村明・山邊将大・水谷大地 プロフィール
ツアーボールの開発・設計に日々研鑽を重ねるボール開発チームのメンバー。
木村が中心となりボール全体の構造設計を行い、今作の進化技術である 「乗り感」をかなえるカバー材を担当したのは山邊。
水谷が試作品の「乗り感」の評価試験やプロの実打テスト結果をフィードバックし、 次回試作に反映する。
この繰り返しが、ブリヂストンのボールづくりの基盤となり、進化へとつながっていく。