ロフトが立ったクラブで打つと、スピンをかけようとする力と、ボールがつぶれてそれが復元するときの順回転側の力(スピンを抑える力)の両方が発生する。新しい溝“スリップレスバイトミーリング”はスピンを抑える力を増幅する効果があるため、全体のスピン量が減る仕組みだ。
まだある! 飛ばしのメカニズム
ブリヂストンのドライバーに搭載されている「サスペンションコア」。フェース面の裏からチタン製のバーが点で支えることで、トウ、ヒールの反発性能が向上、オフセンターヒット時の飛距離のロスを軽減。
カーボンクラウンにより、多くの余剰重量を創出。B2HTはねじれを抑えたクラウンの構造に。B1LS & B1STはクラウン下に前後に梁を渡し、速いヘッド速度で打っても過度にたわまず強い弾道に。
タイヤの技術を応用して
“接点”をとことん科学
ここ数年の熾烈な“ボール初速競争”により、各ドライバーのそれはルール上限に限りなく近づいた。誰が打っても高初速を実感できる時代になったと言えるが、まだ解決できていない要素がある。それは“スピン”だ。あるメーカーの調査結果では、アマチュアゴルファーの約8割はスピンが過剰で飛距離をロスしているという。もちろんスウィングに問題があってのことだが、これをクラブで解決できたら……そこに真剣に取り組んだのが今回の新『Bシリーズ』だ。
スピンを減らすために注目したのはフェースの“溝”。見ての通り複雑な模様が施されている。これによりインパクトの瞬間、滑り上がろうとするボールを食い止め、無駄なスピンを抑制するだけでなく、フェース面の左右の滑りも抑制し、ボールの曲がりを抑える効果があり、直進性を高めるという。実際、今季頭角を現した女子プロ、桑木志帆は、新しいBシリーズに替えてスピンが500回転減少、飛距離にして10ヤードアップを果たしている。多すぎるスピン量に悩むゴルファーには期待の高まる実例だ。
桑木以外にも、吉田優利、さらには堀川未来夢、渡邉彩香といった数年前のモデルを使い続けていた選手もすぐさま替えるなど、近年にない動きが顕著だ。
たかが溝、と侮るなかれ。タイヤを応用したきめ細やかな技術は、新たな素材の導入やヘッドの構造改革といった派手なテクノロジーをしのぐ飛距離アップの可能性を秘めているようだ。
名器J715に搭載
9年前から「溝フェース」は
始まっていた!
始まっていた!
ブリヂストンは長年培ったタイヤの技術をゴルフクラブに応用する取り組みを9年前から実施。フェース面に細かな溝を設けることでスピンを減らす技術は、今回の新『Bシリーズ』でさらに昇華、左右のスピンを減らす効果も獲得した。
新しいBは3モデル
食いつくフェースと三者三様の
ウェイト調整で
最適弾道が手に入る
ヘッド前方へ重量を多く配置した浅重心モデル。スリップレスバイトミーリングと相まって圧倒的な低スピンの強弾道を実現する。また二重構造のウェイトを自在に組み合わせることで、より細かなチューニングが可能になっている。
ヘッド前方へ重量を多く配置した浅重心モデル。スリップレスバイトミーリングと相まって圧倒的な低スピンの強弾道を実現する。また二重構造のウェイトを自在に組み合わせることで、より細かなチューニングが可能になっている。
ST(Strong Trajectory)の名とおりの強弾道モデル。ヘッド後方が上がった形状も球の強さをイメージさせる。ウェイトは前方と後方に設置。トウ・ヒールの入れ替え、および後方の3段階調整でつかまり性能を細かに調整できる。
ST(Strong Trajectory)の名とおりの強弾道モデル。ヘッド後方が上がった形状も球の強さをイメージさせる。ウェイトは前方と後方に設置。トウ・ヒールの入れ替え、および後方の3段階調整でつかまり性能を細かに調整できる。
HTはHigh Trajectoryの頭文字。高弾道かつドローバイアス設計で寛容性にも優れる。ウェイトは後方に設置。銀色のステンレス(8グラム)と金色のアルミ(2グラム)を入れ替えることで、つかまり性能を調整可能。幅広いゴルファーにマッチする。
HTはHigh Trajectoryの頭文字。高弾道かつドローバイアス設計で寛容性にも優れる。ウェイトは後方に設置。銀色のステンレス(8グラム)と金色のアルミ(2グラム)を入れ替えることで、つかまり性能を調整可能。幅広いゴルファーにマッチする。
B1STのFWはチタンボディ、さらに低重心設計によりかなり飛距離性能が高いと早くもツアーで評判。B1ST、B2HTともにカーボンクラウンを採用し、余剰重量を創出。B1STはトウとヒールでウェイト交換が可能、B2HTはドローバイアス設計。
B1STはコンパクトでウッドとアイアンの中間的な形状で、トウ、ヒールでウェイト交換が可能。B2HTはウッド型でオフセット感もあるつかまるヘッド。ドライバー、FW同様“スリップレスバイトミーリング”が施されている。
ラインナップが多彩
重量帯ごとに特徴を持たせた
純正シャフト
ヘッドと高いマッチングを誇る純正シャフト。ベンタスはしっかり感がありつつ安定した操作性と鋭い振り抜き。バンキッシュは適度なしなりと操作性で幅広いゴルファーにマッチ。スピーダーNXは軽量ながら当たり負けを防ぐ設計。
「フェースに食いつく」
唯一無二の打感
試打ではドライバーの低スピン性能が見事に実証された。
「3モデルとも低スピンの強弾道です。溝の効果か打感が独特で、一瞬フェースに食いつく感じ。他のドライバーでは味わえないしっとりとした感触で、とても気持ちいいですね」(平野)
では各モデルの違いはどうか。
「どれも低スピンですが、なかでもB1STはクセがなくスタンダード。適度につかまり感もあり操作もできる。打感も良いのでプロの支持が高いのもうなずけます。B2HTはアップライト感が強くややフックフェース。打球も高くつかまる。ヒール気味に当たっても右に滑らない感じは溝の効果もありそうです。B1LSは決して難しくはない。ただ力自慢が叩いても吹き上がらない超低スピンヘッドであることは間違いないです」
低スピン性能もさることながら。高初速に驚いたと平野さん。
「ここまで飛距離性能が高いとは。高初速をウリにする海外ブランドと同等かそれ以上の数字も出ました。試してみると幅広い人が好結果を出せそうです」
圧倒的な“低スピン”!
しかも横滑りも少ない
「もともとスピンが少ないタイプなので2000回転を切るスピン量が連発しました。それでもしっかりコントロールできる感じもあるので、安心して振り切れる。トウやヒールに外したときに球の曲がりが抑えられる点も強みです」
据わりの良さが秀逸。
目標にピタッと構えられる
「ソールの作りが優れていて、手元が高くても低く構えても据わりが良く、フェースが目標にピタッと向く。変に手に力が入らないのも意外と大事なポイントです。形状も馴染みのある“ブリヂストン顔”で構えやすい」
ミート率「1.50」連発!
かなりの高初速ドライバー
「スピンの部分が注目されがちですが、3タイプともボール初速が非常に速い。現行のモデルのなかでもトップクラスでしょう。手持ちのドライバーの飛距離に今一つ満足していない人は試す価値アリです」
編集Kの
はみ出しインプレ
はみ出しインプレ
HS 43m/s 平均スコア 82
断トツの低スピン!
使いこなすには
少し気合いが必要
ディープフェースで構えたときに若干の威圧感を覚える。打球は超低スピンで、ちょっと上めやトウ寄りに当たるとスピンが足りないほど。その分ゴンゴン転がります。
強い、球が強い!
棒球で
ぶっ飛んでいく
スピンが少ない中弾道の棒球で、落ちてからのランもかなり出る。普段スピン量が多いので、この低スピン性能はかなり魅力。ヘッドの操作性も高いので腕も磨けそう。
やさしいのに低スピン!
一番スコアに
貢献しそう
B1ST狙いだったけれど、悔しいかな一番飛んだのがコレ。構えたときの安心感が高く、ミスにも寛容なので、気持ちよく振り切れるのも一因か。実戦で好結果を出せそう。