ボールフィッティング

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スピンで止めるか、高さで止めるか? ボールの違いはアプローチで分かる ブリヂストンボールフィッティング (3)

text by Kazuhiro Koyama/photo by Yasufumi Sakagami

2019年04月26日 掲載

ボール選びの大切さを証明したタイガーとクーチャー

前回の記事では、ブリヂストンのボールフィッティングに参加したゴルファーのドライバーショットでの結果を紹介した。結果は、平均で約12.7ヤード、最大では30ヤード以上もの差が出た人がいるなど、ボールの違いによる飛距離差を改めて感じるものとなった。

しかし、ゴルフはただ飛ばせばいいわけではない。アイアンやアプローチ、そしてパッティングも重要であることは言うまでもないだろう。実際のところ、上級者はボールを選ぶ際に、パッティングの打感・打音、そしてアプローチのスピン性能を決め手にする人が少なくない。スコアメイクのカギになるショートゲームの領域では、ボールが与える影響が大きいからだ。

ブリヂストンのボールフィッティングでは、アイアンショットは弾道計測器トラックマンで計測。アプローチとパッティングは実際に芝の上から打ってみて、球筋をチェックする。そして、より結果が良く、距離感が出やすいボールを選ぶ。打感や打音の好みは弾道のイメージへの影響が大きく、ドライバーに比べると、感覚的な要素が強くなる。

芝の上から、自分のクラブでボールの比較ができる

今年のマスターズで劇的な復活優勝を遂げたタイガー・ウッズは、『TOUR B XS』を選んでいる。97年の初優勝のときは、まだ糸巻きボールを愛用していたタイガーだが、他を圧倒する豪打が武器だった。ドライバーの飛距離で大きなアドバンテージを取って、大差での勝利を果たした。

一方、今年はスピンコントロールの大切さを改めて示すような勝ち方だった。オーガスタ・ナショナルGCの傾斜を上手く活用し、想定するグリーンのエリアに、計算されたスピン量で落とすという見事な弾道コントロールを見せた。

タイガーが『TOUR B XS』を使うのもその点が大きいだろう。本来であれば、ハードヒッター向けの位置づけである『TOUR B X』が合いそうだが、より軟らかな『TOUR B XS』のほうが、もっちりとフェースに喰いつき、バックスピンもより強くかかりやすい。タイガーのボールコントロールに欠かせない機能を備え、復活優勝に大きな役割を果たしたボールだ。

タイガーを起用した『TOUR B X/XS』の広告クリエイティブ。タイガーの「このボールは、言うことを聞いてくれる」というコメントが味わい深い

マット・クーチャーもまたタイガーと同様に『TOUR B XS』を愛用し、短い距離でのスピンコントロールを武器に戦ってきた選手だ。ブリヂストンのスタッフによると、クーチャーはとにかくショートゲームのスピン性能にこだわるのだという。しかし、昨年11月の「マヤコバ・ゴルフクラシック」で、試験的に『TOUR B X』を使用したところ、4年ぶりとなる勝利をあげ、その勢いで1月の「ソニー・オープン・イン・ハワイ」でも優勝した。

しばらく勝てていなかった選手が、ボールの変更をきっかけに短期間で2勝するのだから面白い。ボール選びの妙を感じるエピソードだ。タイガーとクーチャーという二人の選手を見ると、自分のゴルフを組み立てる上で、ボール選びを重要視していることがよく分かる。

アプローチでは、ボールの性能差が顕著に表れる

ボールフィッティングに参加したアマチュアゴルファーは、ツアープロのようにスピンを自在にコントロールできるわけではない。しかし、技術のレベルを問わず、ボールによる弾道の違いははっきりと表れるものだ。

7番アイアンを用いた試打では、ドライバーと同様にトラックマンを使って、飛距離はもちろんのこと、「ボール初速」、「スピン量」、「打ち出し角」を測定する。スピン系ボールと比べると、ディスタンス系のほうがスピン量は少なくなるというのが常識だが、こと7番アイアンの場合だとスピン系ボールの方がスピンレスになることもある。カバーが薄く、硬い中間層が働くためだという。

『TOUR B X』の内部構造。フルショット時の低スピンを追求している(画像:ブリヂストンゴルフHPより)

今回の参加者は、スピン系とディスタンス系、どちらのボールでも十分な高さとスピン量が出せている人が多かった。ボールの違いによって、約6ヤード飛距離が伸びたケースもあったが、飛距離に大差がない人も少なくなかった。

この程度であれば、実際のラウンドでも結果に大きな差は出ないだろう。難しいコンディションで、グリーンが硬く傾斜も強い場合などでは、ボールの止まりかたに違いが出ることもありそうだ。普段よく行くコースのコンディションを考慮してボールを選んでみるのも面白い。

そして、ドライバー、アイアン、パッティングなど他の領域と比較して、アマチュアにとってボールの違いが最もよく分かるのがアプローチだ。「正直、ドライバーではどれを打っても違いがわからない」という人であっても、短い距離のアプローチであれば、打感の違いや球の高さが変わるのをはっきりと感じることが出来る。

今回のボールフィッティングでも、参加者のほぼ全員が、打ち出しの高さやスピンのかかり方の差、打感や打音の違いを実際のアプローチ試打で感じることが出来た。違いが分かれば、自分はどのボールがプレーしやすいかという好みもはっきりしてくる。ボール選びはまずアプローチで打ってみるのが、おすすめだ。

スピン系の『TOUR B X』、『TOUR B XS』であれば、グリーン上でキュキュっとスピンがかかりやすい。出玉が低くなれば、スピンがより強くかかる。ディスタンス系の『TOUR B JGR』や『PHYZ』であれば、出玉が高くなり、スピンはそれほどかからず、トロトロと転がりやすい。

一般的にはスピン系はアプローチに優れ、ディスタンス系が飛距離に優れていると思われがちだが、プロのように強いスピンをかけて止める人は、アマチュアでは少数派だ。参加者の中にはポーンと高く打ち出されてから、コロコロとランで寄せていく『PHYZ』のほうが、スピン系ボールよりもアプローチのイメージが出しやすいという人が何人もいた。

参加者の多くがギアへの関心が高く、普段からスピン系のボールを愛用している人が大半だったが、実際のラウンドではスピンがかかりすぎたりして、距離が合わない事が多いという声も聞かれた。ディスタンス系のほうが前に転がってくれる分、転がして寄せやすい場合もあるかもしれないから、先入観を捨てて試したいところだ。

また同じディスタンス系でも『PHYZ』に比べると、『TOUR B JGR』は、ある程度のスピンを計算して止めることも出来る。もちろん、『TOUR B X』、『TOUR B XS』のスピン系ボールであれば、さらに強いスピンをかけて止めることが出来る。このあたりの弾道の違いを見極めて、好みのボールを選んでいくわけだ。参加したゴルファーたちは、皆熱心にアプローチして、その球質の違いを感じ取っていた。

Vol.4へ続く

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