ブリヂストンの考えるフィッティング理論であなたにピッタリのボールを見つけよう!
ALBA.netで紹介された当社ボールフィッティングの様子をお届けします。
コヤマカズヒロのゴルフギア、
ここが知りたい!
text by Kazuhiro Koyama/photo by Yasufumi Sakagami
埼玉県秩父市にあるブリヂストンのゴルフテストセンターでのボールフィッティング。参加したゴルファーたちは皆、密度の濃いフィッティングによって、ボール選びの重要さを認識していた。
特に、ほとんどの参加者はボールを変えただけで、目に見える飛距離の差が生まれていた。数ヤードから10ヤード強は飛距離が伸びる人が多く、驚いたことに20〜30ヤード以上アップした人もいた。ゴルファーにとって最も関心の高いドライバー飛距離に、ボール選びが大きく影響するのだ。
改めて、参加者が打ち比べた4種類のボールを紹介しよう。
まずはスピン系に分類される2モデル、『TOUR B X』と『TOUR B XS』だ。
『TOUR B X』は、手応えのあるしっかりとした打感が特徴のボールだ。その分、ボールの初速性能が高く、男子プロはもちろん、女子プロにも使用者が非常に多い。プロもそれだけ飛距離を求めているということだ。
もちろんスピン系ボールということで、外層は軟らかなウレタンカバーでアプローチでは非常にスピンがかかる。内部構造は「スーパーハイドロコア」というコアの中心部と外側に硬度さを設けたブリヂストン独自のテクノロジーで、その特徴はさらに強調される。
つまり、アプローチやパットでは外側の軟らかい部分が機能し、より衝撃が大きいドライバーなどのフルショット領域では、中のコアまで潰れることで余計なバックスピンを抑えることができる。これが飛んで止まるという、相反する性能を実現するメカニズムだ。
『TOUR B XS』は、『X』に比べると更にカバーが軟らかく、フェースにくっつくような球持ちの良い打感で、アプローチのスピン性能は『X』も優れているが、この感触がよりボールをコントロールするイメージを出しやすい。なんといってもタイガー・ウッズの使用球として知られており、今年の劇的なマスターズ制覇にも大いに貢献したボールだ。
『TOUR B JGR』と『PHYZ』はディスタンス系に分類される。
スピン系の2機種に比べると、ドライバーでのスピン量がより減少しやすい。
こちらはスピン系とは逆に、「内軟外硬」構造になっているのだが、コア自体は対象ゴルファーに合わせて、より軟らかくなっているので、インパクトでしっかりとボールが潰れて、低スピンになる。コアが軟らかい分、打感も軟らかく感じられる。
『TOUR B JGR』は、「ブースト・パワー・テクノロジー」というブリヂストンの特許技術を採用。コアだけでなく、ボール全体が「内軟外硬」の3P構造となりインパクトのエネルギーをよりボールに伝えられ、ボール初速が向上するという。低スピン性能と相まって飛距離性能の高いボールだが、意外とショートゲームでのスピン性能も持ち合わせている。スピン系には及ばないが、少しバックスピンを計算できるのは、アプローチでの安心感につながるだろう。
『PHYZ』は、シニア層を中心に飛距離性能に定評のあるシリーズで、今年新たに発売されたモデルで五代目になる。『PHYZ』史上最軟となる「ソフト・ハイドロコア」がドライバーのスピンを抑制し、外側の「高速ドライブカバー」は2種類の高反発素材を新配合して、反発力がアップしている。ヘッドスピードが38m/s以下では最も飛ばせる設計になっていて、ボールの軟らかさは4機種で最も軟らかい。
その名前が表しているように、一般的には、スピン系がアプローチでのスピン性能を重視し、ディスタンス系は飛距離を重視していると認識されている。実際、ボールフィッティングの参加者もディスタンス系である『JGR』や『PHYZ』を使用したときのほうが、飛距離面で優位になる人が多かった。
その理由は、スピン量の違いが大きい。一回目で紹介したように、スピン量が2000回転/分と4000回転/分だと、他の条件が同じでも20ヤードもの飛距離差が生まれた。そして、多くのアマチュアゴルファーがスピン過多で飛距離をロスしているケースが多いのだ。
スピン量をスイングで減らすのはなかなか大変だ。かつてプロゴルファーたちはいかに技術でスピンを減らすかに腐心したものだった。しかし、現代はボールを変えるだけで効率よく適正スピンを得ることが出来る。
我々アマチュアは、4種類のボールのうち「どれが飛ぶの?」と気になってしまうものだ。他のゴルファーから飛ぶという噂を聞くと、自分も試したくなる。しかし、どれが飛ぶのかはその人次第だという他はない。
ボールフィッティングの意義もまさにこの点にある。弾道計測器トラックマンで、飛距離はもちろん、精密に弾道データを計測するのは、ボールによる弾道の違いをより可視化するためだ。そして、ツアープロのフィッティングやテストも担当する経験豊かなスタッフたちが、最適なボールを推奨してくれる。
フィッティング体験者は、その日の試打データとスタッフが推奨するボールが記載されたカルテが渡される
参加者とスタッフとのやり取りは、単に計測上、飛距離が出ているだけでなく、ゴルフをする上でトータルな性能を考慮しながら行われる。
例えば、ヘッドスピードが速いものの、ドライバーのスピン量の少ないSさんの場合、トラックマンで最も飛距離を叩き出したのは『JGR』だった。しかし、スタッフはスピン量が2000回転/分前後とやや少なく、弾道の安定感が不足する可能性を指摘。推奨したのは2400〜2500回転/分のスピン量を確保できる『TOUR B X』だった。
担当したスタッフは「計測上は飛んでいたとしても、実際のコースでのプレーで、風などの条件の違いで弾道が失速したり、曲がりが大きくなってしまっては、ゴルフが難しくなります。飛距離はもちろん重要ですが、ショートゲームも含めトータルの性能でボールを推奨しています」と説明する。一発の飛びに一喜一憂せず、よりゴルフが優位になるようなボールを勧めてくれるわけだ。
打感や打音といったフィーリングまで含め、参加者とスタッフとの細かなやり取りは、まるでプロの道具選びのようだった。腕前の差はあれど、プロと同じようなボールフィッティングが受けられるのが、このイベントの最大の魅力だろう。
4回に渡って、ブリヂストンのボールフィッティングを紹介してきたが、よりボールの性能の違いに興味を持ってもらえたのではないだろうか。フィッティングを担当するブリヂストンスポーツ・ボール企画部の宮川直之氏は、「スポーツの中でボールが選べるのはゴルフとボーリングくらいしかありません。だからこそ、ご自身に合ったボールを選んで欲しい。そんな思いでこのボールフィッティングをはじめました」と話す。機会があれば、ぜひボールフィッティングに参加して欲しい。ボールが変われば、弾道もまた大きく変わることを実感できるはずだ。