杉ちゃんの「目指せ!No.1キャディ」

タイトル
 これは、先日一時帰国し実家に帰った時のお話です。年に数回しか実家を訪れる事のない僕ですが、必ず行く所があります。それはお墓参り。学生時代、不安定な心をいつもビシッと勇気付けてくれた、和尚さんに会いに行くのです。

 もう亡くなってから4年たちますが、和尚さんのお墓の前に行くと、純粋な心になる自分がいます。まるで、子供が親にダダをこねるように甘えてしまうのです。

 もちろん相手はお墓という石ですから会話をするわけではないけれど、誰にも言えない悩みや思いを、見栄体裁を張らずに打ち明けることができる。今回もいつものごとくお墓の前に立ち、帰省の挨拶と、最近あった事をざっくばらんに話しました。『恋愛の事』、『仕事の事』、『家族の事』。「自分はちゃんとやっているのになんで伝わらないのか?」、「自分は間違っているのか?」…。思いの丈をはき出し、そろそろ帰ろうと、和尚さんに「また頑張ってくるね」と告げた時でした。『俺はいいから…』という言葉が聞こえたのです。

 その後東京に向かう新幹線の中で『俺はいいから…』、その言葉の重みを噛み締めました。と、いつの間にか『俺が、俺が』になり『我』が強くなっていた自分に思い当たったのです。

 誰しも自分が一番かわいいから、つい自分中心に物事を考えます。上司に怒られても、自分はこんなに頑張っているのに何で認めてくれないんだろうとか、もっと評価してほしいとか…。

 先日大切な人に、『最近杉ちゃん余裕ないよね…』って言われました。すっごくショックでした。余裕のない人間って、がつがつしてて好きじゃなかったんですが、自分が今そんな状態だなんて…。でももしかしたら、頑張ったら頑張った分だけ褒めてもらいたい、評価してもらいたい。何でも『たい、たい』と欲張っていたのかもしれません。

 欲は人の心の余裕という器をいっぱいにしてし、身動きを取れなくします。逆に欲を減らしてまだまだ入る状況にしておけば、自由自在に動けて、考え方にも幅が出る。そういう人は相手にも余裕があると思わせるものです。

 あの墓参り以来、心から僕は『俺はいいから、あなたは?』と思うようになりました。自分が幸せになりたいと思った時こそ、相手の幸せを心から願いたい! そう思わせてくれた和尚さん、そして大切な人へ、心から感謝します。

提供:スポマガGOLF


杉澤伸章プロフィール
愛知県蒲郡市出身。高校球児からプロゴルファーを目指し22歳のとき愛鷹シックスハンドレッドの研修生となる。プロへの道は早々に断念したが、同コース所属の横田真一に誘われプロキャディに。国内ツアーで様々なプロのキャディを経験した後、02年から丸山茂樹の専属キャディ。03年クライスラー・クラシック・オブ・グリーンズボロで丸山がツアー3勝目を挙げたときバッグを担いでいた。愛称『スギちゃん』

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