杉ちゃんの「目指せ!No.1キャディ」

自分が自分であるために、緊張したら息を吐こう!
 全英オープンは僕の力不足で残念な結果(予選落ち)に終ってしまいました。

 それにしてもセント・アンドリュースのオールドコースはまさに“ゴルフの聖地”と呼ぶに相応しい場所でした。ゴルフとはなんぞや、というのを改めて教えてもらった気がします。

 初日の1番から手痛い洗礼を受けてしまったのはご存知の通り。刻一刻と強くなるアゲンストの風。それでも届くだろう、と判断し9番アイアンをチョイスしたのに、丸山さんが自信を持って打った瞬間まさかの突風。グリーン手前のクリークにつかまり、水しぶきが上がったときは信じられない思いでした。

 でもそれも僕の腑甲斐無さですね。もっと慎重にことを運んでいたら違った結果になっていたはずなのに…。イギリス、しかもリンクスではアメリカとは違って、独特の重い風が吹く。それなのに、なぜ丸山さんに9番を持たせてしまったのか? 一番大事なスタートホールで“重い荷物”を背負わせてしまったこと、今もとても反省しています。依然としてスランプから立ち直れず、申し訳ない。

 人間、赤ちゃんのときに熱いやかんを触って、“これは熱い”と認識してから、生きて行く中でさまざまなデータを蓄積するものじゃないですか。経験から培われたデータを使って、どうすべきかを考える。ただ、あのときの僕は、ただデータだけに頼って臨機応変な状況判断ができていなかったのだと思います。

 単純なことですが、やかん自体がいつでも熱いわけじゃなく、熱いものが入っているから熱いわけだし、水が入っていればまったく熱くなんかないんですよね。それなのに僕はやかんの中身を吟味せず、9番アイアンは145ヤード飛ぶから、この風でもピンまで届くだろうと判断してしまったのです。

 この夏、僕は生まれ変わる決意をしました。研修生のときのように、今一度、自分でゴルフをがむしゃらにやってみて、プレーヤーの気持ちになり、自分に何ができるのかを考えたいと思っています。失った自信をどこまで取り戻せるかわからないけれど、このままでは丸山さんに迷惑かけっぱなしですからね。

 ファンの方々にも申し訳ない。皆さんに元気なコラムをお届けするためにも、顔を洗って出直しです。ピンチのあとにチャンスではないけれど、このスランプのトンネルを抜け、笑顔になれる日を夢見て、汗をかくつもりです。勝手ですが、そんな僕を今しばらく見守ってやってくれませんか。

提供:スポマガGOLF


杉澤伸章プロフィール
愛知県蒲郡市出身。高校球児からプロゴルファーを目指し22歳のとき愛鷹シックスハンドレッドの研修生となる。プロへの道は早々に断念したが、同コース所属の横田真一に誘われプロキャディに。国内ツアーで様々なプロのキャディを経験した後、02年から丸山茂樹の専属キャディ。03年クライスラー・クラシック・オブ・グリーンズボロで丸山がツアー3勝目を挙げたときバッグを担いでいた。愛称『スギちゃん』

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