写真:田辺安啓
 06年シーズンも、いよいよ終盤だ。丸山茂樹は賞金ランク75位でフライズ・ドットコム・オープンを迎えた。開催地はラスベガス。丸山は大都会で行なわれる大会が性に合っているのだろう。強い日差しの下でプレーする丸山の表情は晴れやかだった。

 ショットは快調、パットも好調。最近チェンジしたばかりの新しいドライバーも「悪くない」と、ご満悦だ。「ティを少し高くしたぶん、たまにダフるときもあるけど、ずいぶん慣れてきた。高弾道で低スピン。僕は右に逃げるのが苦手だけど、このドライバーはつかまりやすい。飛距離も5〜6ヤード、最大で10ヤードぐらい伸びた。ようやく、いいものが手元に来ました」。

 丸山のギアチェンジには、こんな意味合いがある。「流れがいいときはクラブを変えないし、すごく悪いときも変えない。今は良くも悪くもないので、こういうときは、いろんなことを試すいいチャンス。それに、ギアチェンジは気分転換にもなる。それも一つの手。そういう楽しみ方もあります」。

 気分を変えたい理由は何か。それは、今年の丸山が不調だと言われ続けている状況を彼自身が肌で感じているからだ。「フィル・ミケルソンにだって、全然勝てない時期はあった。僕に、そういう時期があっても不思議はない」。

 それでも、丸山には最後の最後まで目標がある。賞金ランク70位以内に入ること。そのために、痛めている右肩を抱えながらもフロリダで行なわれる最終2試合までトライすると決意した。「70位以内に入って、今まで出ていたメモリアルやコロニアルに来年も顔を出したい。そうじゃなきゃ、モチベーションが下がってしまう」。

 丸山は自分なりの目標をきっちり設定し、その目標をクリアするために歯を食いしばっている。がんばれ、マルちゃん。シーズンを戦い抜き、オフには右肩のリハビリに励んでほしい。来年も米ツアーが笑顔のマルヤマを待っている。



来季のシード獲得が絶望的な田中秀道を眺める丸山の胸中は複雑だ。「ヒデは練習では決して悪くない。でも、試合になって、ちょっと球が曲がると、自分だけが曲がっているような気になっちゃう。そして、その恐怖から離れられなくなる。ホント、ちょっとした歯車の食い違いで、そんなふうになっちゃうんですよ」。それならば、丸山にも、そんな恐怖を感じることがあるのかと尋ねると、「いっぱいありますよ、そんなこと。でも、僕は何週間に1回とか、優勝争いに絡んだりして勢いを実感できるからなんとかなっているけど…。噛み合わせとか、運命とか、切ないですね」。明日は我が身。米ツアー7年の丸山も、常に恐怖と向き合っている。


文・舩越園子(ふなこし・そのこ) 在米ゴルフジャーナリスト
プロフィール
1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学政経学部経済学科卒業。93年渡米以来、アメリカのゴルフに関する取材記事を日本の新聞、雑誌、インターネット等へ幅広く執筆中。現ニューヨーク在住。著書に「転身!デパガからゴルフジャーナリストへ」(文芸社)、訳書に「タイガー・ウッズの不可能を可能に変える5ステップドリル」(講談社)などがある。

提供:スポマガGOLF

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