写真:田辺安啓
 7月上旬のビュイック選手権で5位タイに食い込んだと思ったら、3週間後のB.C.オープンでは単独3位。今季自己ベストを次々に更新した丸山茂樹は、その直後から3週間のオフを取った。毎年、この時期に一時帰国し、自らが主宰するジュニアクリニックなどを手がけるのは、丸山の年間ルーティーンだ。

 オフ明け早々、待っていたのは今季メジャー最終戦の全米プロ。メダイナCCはメジャー史上最長の7,561ヤードに設定されていたが、丸山は「ラウンドしていると7,200〜7,300ヤードの雰囲気。木が大きくて風の読みが難しいし、グリーンの奥行きがないからアイアンショットに神経をつかう」と、距離はさほど問題視せず、ベテランらしいディテールに難しさを感じ取っていた。

「4日間きちんとやれるようなゴルフをしたい」と語った丸山の胸の中には、本当はもっと練習して臨みたかったという思いもあった。6月に発症した右肩痛が尾を引き、「練習量は6割まで。球打ちは一日100球以内」とドクターリミットが課されていた。丸山は元来、練習好き。練習の中で課題を見い出し、それを試合で試すという流れの中でやってきた。そんな丸山にとって練習したくてもできないというのは、モチベーションを保つ上で何より辛い状況だ。しかし、彼は報道陣に「がんばります」とだけ言ってティーオフしたのである。

 結果は予選落ちだった。だが、初日は完敗だったパットが2日目に上向き、アンダーパーで回れたことは「今後につながる」と、ひたすらポジティブ。首の故障も響き、飛距離ランクは低下しているが、全米プロ終了後のデータで平均パット38位。パットでゲームを組み立てる丸山にとって好材料と言える。賞金ランクは69位。猛チャージをかければ、トップ30入りして最終戦ザ・ツアー選手権に出場できる可能性もある。苦難は次々に訪れるが、すべてを「今後」につなげてほしい。



全米プロ3日目の夜、メダイナ近郊のスターバックスに足を運んだら、丸山茂樹にばったり出くわした。予選落ちして、すでに旅立ったと思っていたため、この日に遭遇したのは意外だった。この日の昼間、丸山は何をしていたのだろう。「ジムで自転車こぎしながら、ずっとテレビで試合を観ていたんです」。そう言って丸山は、ウォッチングした上位選手たちのスイングや攻め方について、いろいろな感想を語り続けた。米ツアー参戦7年目のベテランだけあって、その観察眼の鋭さには驚かされたが、それより何より、予選落ちしても腐ることなくトレーニングやウォッチングに精を出す姿勢、あくまで笑顔を絶やさぬ姿勢に、彼の「今後」を期待した。


文・舩越園子(ふなこし・そのこ) 在米ゴルフジャーナリスト
プロフィール
1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学政経学部経済学科卒業。93年渡米以来、アメリカのゴルフに関する取材記事を日本の新聞、雑誌、インターネット等へ幅広く執筆中。現ニューヨーク在住。著書に「転身!デパガからゴルフジャーナリストへ」(文芸社)、訳書に「タイガー・ウッズの不可能を可能に変える5ステップドリル」(講談社)などがある。

提供:スポマガGOLF

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