写真:田辺安啓
 丸山茂樹が安堵の表情を見せている。今年の最大目標として掲げていた「来季シード権獲得」を、とうとう確定させたからだ。

 年々、拍車がかかる賞金額の高騰にともない、来季のシード権確定ラインは70万ドル(約8,200万円)以上と予想されている。丸山は5月から6月にかけての6連戦で70万ドル突破を目指していたが、連戦終盤に右肩を痛めて棄権や予選落ちを喫した。だが、1週間のオフの後、再び連戦態勢に入ると、ブーズ・アレン・クラシックでは13位タイ、続くビュイック選手権では5位タイへ。この時点で獲得賞金額は71万4,889ドル(約8,300万円)に達し、念願の来季シード権確定を果たした。

「おめでとう」と声をかけると、弾けるようなマル・スマイルが返ってきた。「ありがとうございます。いやー、ホント、うれしいです」。

 米ツアー参戦7年目、ツアー3勝を挙げているベテランの丸山にとっても、翌年のシード権を得られるかどうかは死活問題。とりわけ、04年以降は未勝利ゆえ、シード権獲得は1ドルでも多く稼げるかどうかの厳しい賞金レースにかかっている。「メモリアルは(棄権となり)悔しかった。ビリでも4日間やりたかった」。03年に左首を痛め、薬漬けの日々を過ごした丸山は、今回の右肩痛で「2年ぶりの薬です」と苦笑。「クラブを振る分には問題ない。ちょっとした動作の瞬間に痛みが走りますけどね」。

 毎年、才能ある若手選手がどんどん出現し、層の厚みが増している米ツアー。丸山が飛距離伸長に血の滲むような努力を重ねても、若者たちは軽々と300ヤードを越え、コース全長も冷酷に伸ばされていく。そんな中、丸山は飛距離ランクは落ちても、平均パット48位、平均スコア53位(共に7月18日現在)とパワー不足をワザでカバーしながら大健闘している。「毎年シードを取るのは大変だよねえ…」。

 実感のこもった丸山の言葉に、米ツアーの厳しさが溢れ出ていた。



 ビュイック選手権で最終日に66をマークし、今季自己ベストの5位タイに食い込んだ丸山。今年2度目のトップ10入りがかなった要因は「稲妻パターが決まりました」。丸山は練習の際に気付いた工夫を試合で試みる実戦派だ。今年もロングパットの素振りだけはラインに平行に立って行なうなど新たな試みを続けてきた。となると、「稲妻パター」はどんな試みから生まれた好結果だったのか。「いや、最近、あんまりいじらなくなったのが、良かったのかな」。ゴルフはミズモノ。体調や気候などによってスイングやストロークの良し悪しは七変化となる。「たまには、いじらずいこう」という作戦が功を奏することもあるようだ。


文・舩越園子(ふなこし・そのこ) 在米ゴルフジャーナリスト
プロフィール
1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学政経学部経済学科卒業。93年渡米以来、アメリカのゴルフに関する取材記事を日本の新聞、雑誌、インターネット等へ幅広く執筆中。現ニューヨーク在住。著書に「転身!デパガからゴルフジャーナリストへ」(文芸社)、訳書に「タイガー・ウッズの不可能を可能に変える5ステップドリル」(講談社)などがある。

提供:スポマガGOLF

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